自家製天然酵母を育て始める

自家製天然酵母でパンを焼くというのはとても大変なことだと思っていました。

きっと私たちには天然酵母のおいしいパンが焼けないにちがいない。
自家製酵母で焼いているパン屋さんは少なくて、私たちがイメージできたのは富ヶ谷にあるパン屋さんくらいでした。
あんな素敵なパンは私たちには無理。
それに天然酵母のパンってなんだか酸っぱいし。
ドライイーストで充分じゃあないですか。と。
いつかできたらいいけど。
まだまだ先のことだ、と。


お店を始めることになったことと親の死と初めてのお産が1年の間に重なりました。

そして、助産院でお産をしたときに北海道から単身赴任で働いている助産師さんに出会いました。(立ち会ってくださった助産師さんではないのですが)
その方は助産師になる前は天然酵母のパン屋さんを営んでいたとおっしゃるのです。
ふとパンの話がでたときに、
「ご主人、天然酵母はやらないの?」と。
「いやぁ。天然酵母は難しいってきくからー。」と消極的だった私たちに
「確かに最初はいろいろ苦労すると思うけど、ほんとうに美味しいのよ。
それにご主人むいてそうよ。やってみたら?子育てと一緒よ。」と背中を押されました。
そうかー。子育てと一緒かー。
「酵母菌がだめになってもあんまりめげないで、どんどんやってみたらいいわ。
そのうち何かできるようになっちゃうわよ。」
ふむう。


よっちゃんには何かひらめきがあったようです。
まずは、酵母菌を抽出しやすくてやりやすいというレーズン酵母を育ててみることにしました。
保存瓶を用意して、煮沸して。
いろいろな作業に緊張しながら準備しました。
微生物を育てるのは初めてのことでした。

そして酵母菌に名前をつけることに決めました。
きっとたくさん失敗するだろうから、どれがどれだったかわからなくならないようにするために。
それに子育てと一緒だというし。
やはり名前があったほうが育て続けられると思ったのです。
そこで50音順に名前を考えることにしました。
そうすれば、順番も間違えないし50音あればいつか成功するだろうと。

そうして最初のレーズン酵母には仕込み始めたときに『青木さん』と命名しました。
深い意味はないらしいです。
『あ』のつく名前と思ったら『青木さん』という名前が降りてきたらしいです。

あとは有機のレーズンにお水をいれて保存瓶の中でぷくぷくしてくるのを待つだけです。
最初はどきどきわくわくでかなり緊張もし、保存瓶に触れるのにも手が痺れるくらいでした。
これが始まりでした。

死と再生というのがその頃の私たちのテーマのようでもありました。
失っていくものと生まれてくるものの連続でそれに翻弄されながら店を始めることになり、子供も生まれ、またそのことで酵母菌を育て始めることになり・・・。
でもなんだか良い予感がありました。
きっとおいしいパンが焼けるようになる気がする。
漠然とした予感です。
それを持ち続けていようと思いました。




at 13:37, 酵母菌観察係, *自家製酵母でパンを焼くことになったわけ*

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